世に言うサバイバル術に興味ありませんか?
街で傷病者が出た時や危険な場面に遭遇した場合、どうすればいいんだろうと考えることがあると思います。知識や準備がなければ、誰であれ急な場面に遭遇しても何もできないことでしょう。
実は、基礎的なサバイバル術を知っていると、いざと言う時に役立つばかりでなくアウトドアのレジャーなどでも使える技術があります。
陸上自衛隊は、さまざまな任務に対応するために、隊員一人ひとりが生き残るための基本的な技術を学び、その技術を使って訓練や災害派遣の場で活動しています。
筆者は、レンジャー課程を修了し、災害派遣において行方不明者捜索などに参加した経験があります。
本記事では、以下の内容について紹介しています。
・自然界から得る天気情報
・現在地と方向の確認
・長距離の歩行
・山地で気をつけること
・火の使い方
・水に関わる行動
・ケガの予防と応急手当
・簡易測定方法
ここで紹介するサバイバル術は基礎的な技術なので、アウトドアなどのレジャーや災害に巻き込まれた時など、さまざまな状況に応用できるものです。
本記事のサバイバル術で、普段楽しんでいるキャンプやハイキングを安全に行い、さらに深い楽しみを見つけてアウトドアのレジャーを満喫したいと思いませんか?
災害の時など、サバイバル術を使って災害や事故などで危険回避の助けになり得ますし、家族を安全にサポートできたら信頼アップにつながるかもしれません。
本書を読んで野外でのサバイバル術を身につけましょう。
自然界から得る天気情報
日本では昔から、空模様や風向きなどの自然現象の変化をもとに天気を予想することを「観天望気(かんてんぼうき)」や「天気俚諺(てんきりげん)」などと言い、以下のように予測してきました。
空から得る方法
- 夕焼けなら翌日は晴れ
- 朝焼けは雨
- 急に晴れ、冷たい北風が吹くと好天が続く
- わた雲が浮かんでいるときは晴れ
- 星が大きくキラキラ光っている翌日は晴れ、小さく見えると雨
生物から得る方法
- クモの巣に水滴が付いていると晴れ
- コオロギがにぎやかに鳴く翌日は雨
- みみずが地上出ていると雨
- ツバメが高く飛ぶと晴れ、低く飛ぶと雨
植物から得る方法
- タンポポの花が開くと晴れ、閉じると雨
- 樹木の葉先に露玉があると晴れ
風向きから得る方法
- 東風は天気が悪化
- 冬に太平洋側で南風は天気が悪化、日本海側では一時的に好天
- 春、秋、冬の西風は晴れ、南風や東風は雨
自然現象から天気予報をしてみましょう。
現在地と方向の確認
山間部において自分の位置がどこかを確かめることは大切であるばかりか、時に命にかかわる大事につながりかねません。
地図の使用法
地図を使用した現在地の求め方です。
- 磁石で北の方向を確かめ地図の北の方向を合わせる
- 現在地から山頂などの著名な地点2ヶ所への磁石の方角を確認する
- 地図上に著名な2ヶ所から逆の方角(±180度)に直線を引く
- 2本の直線が交わった地点が現在地
より正確な現在地を求めるには、現地の地形と地図上の表記の一致を確認します。
- 山の頂上、尾根、高い建物など
- 道路や河川の曲り具合
磁石の使用法
磁石で方位を測定する方法です。
- 鉄塔、鉄橋、線路、鉄筋の建物や金属製の製品から離れる
- 指針を安定させ水平に保つ
自然の活用
太陽、月、星の特徴
太陽
- 朝に東から昇り
- 夕に西へ沈み
- 正午は南にある
月
満月では
- 18時に東から出て
- 0時に南天
- 6時に西に沈む
上弦の月(半円部が下)では
- 18時に南天
下弦の月(半円部が上)では
- 0時に東から出て
- 6時に南中
星
- 北極星を中心に時計の反対回りに回転する
- 北極星から北の方向を確認する
- 北極星の位置は
カシオペア座
大熊座(北斗七星)
から判定する
木の切り株
正確性は劣りますが樹木からも方位を求められます。
- 年輪の幅の広い方が南
- 枝の茂っている方が南(イチョウの木は北側が茂っている)
- 樹木の根元の苔の多い方が北
時計の活用
針の腕時計でも方位がわかります。
- 短針を太陽の方向に向ける
- 短針と12時の真ん中が指す方向が南
これらを駆使して自分の位置を実際に野外で確かめてみましょう。
長距離の歩行
長距離を歩行するには、疲労やケガなどのダメージを軽減することがカギです。
また、一人で歩くのとグループで行動する場合とでは配慮する内容が異なります。
体調管理
途中で脱落や怪我をしないためにも、歩く前から体調を整えます。
- 十分な食事と睡眠を取る
熱中症を予防できる
食事の時、梅干を食べてミネラルを補給することで脚のつりを防げる - 前日の飲酒はなるべく控える
- 事前に足の爪を切っておく(直前に切り過ぎない)
靴擦れ・マメの予防
靴擦れやマメができると痛みでバランスの取れた歩行ができなくなり、足首、膝、股関節、腰など他の部位に支障が出てさらに歩けなくなるので、油断しないようにしましょう。
- 足に合った馴染んだ靴をはく
靴下を2枚重ねてはく
はくときはシワを作らないように注意する - 休憩の都度、靴下を脱いで足の裏をマッサージする
まめにマッサージすることで、歩行で生じた皮膚の偏りがほぐされて靴擦れやマメができなくなる - 大休止の時や仮眠の前に、濡れタオル・ティッシュなどで足の裏を拭いて清潔に保つ
休憩の取り方
長距離の歩行は体力を消耗するので、安全な場所での疲労回復に気を配りましょう。
- 崖の上下、岩の下など危険な場所を避ける
- 夏季など炎暑時は、日陰で風通しのよい場所を選ぶ
- 冬季は歩行でかいた汗が冷え込むので、発汗の処置を十分行う
必要であれば肌着や中衣を取り替える
替えのタオルを携行する
水分の採り方
急にたくさんの水を飲んでしまうと、バランスの取れた水分摂取ができなくなり、必要な時に水が使えなくなります。
- 出発前に水筒を満水にしておく
- 少量ずつ渇きを癒す程度に飲んで、がぶ飲みしない
体温調整
熱中症予防のためにも体温調整は必要です。
- 炎暑時は、後頭部に直射日光が当たらないように帽子の下にハンカチを挟むなど工夫をする
- 体温低下防止のため、汗で濡れた肌着や下着を休憩時に替える
冬季や夜間は、低気温により体温がうばわれるため注意が必要
斜面の登り降り
山間部は、傾斜のため上り下りが続く特性があるので疲労を軽減する工夫するとよいです。
- つま先で蹴るように歩くとふくらはぎに負担が掛かるので、足の裏全面で設置しながら前に進むように歩く
- 登山道では登りの人を優先するマナーを守り、下りの時は登りの人に道をゆずる。
雨天への対応
山間部では天候の急変があり得るので、計画にあたっては中止や延期も検討しましょう。
- 雨天時には、撥水性の雨具が有効である
ビニル製の雨ガッパは、歩行時の発汗と雨のためかえって濡れてしまうので、短時間の一時的な対処として使用するとよい - 荷物が濡れないようにリュックの入れ物をあらかじめビニール袋に詰めて中の空気を抜いて口を結んだり、ジップロックの袋に衣類を入れて準備する
- 傘は、落雷や暴風に注意して用い、できれば使用しない
霧への対応
霧が出てきて、周囲の状況がわからないまま行動すると危険です。
- 霧が晴れるまで移動せず休止することも考える
- 別の道を選んでしまったり、同じところを周回すると復帰まで体力を消耗して動けなくなってしまう
グループでの歩行
大なり小なり集団で行動する場合は一人で行動するのと違って
- 全体の状況の把握
- 情報の伝達
- 体力に応じた他の人への心遣い
などが必要になります。
グループとして事前の計画や準備が必要です。
- 出発前に、当日の気象や道路状況、コースや時間計画を全員に説明する
- トランシーバー、スマホ・携帯電話などの連絡手段がない時の情報伝達手段を考え、できれば伝達の予行をする
- 脱落、孤立化を防止する
体力に自信のない人が一緒の場合、その人に歩くペースを合わせる
安全係や衛生係の人は体力のある人にお願いし、最後尾を歩いてもらう - 事故など不測の事態が起きた時に備える
予想できる危険事態、事故を予想して対処を考えておく
当日、現地において事故が起きた場合
リーダーが自信を持って判断を下し淡々と対処する
このため準備やシュミレートを徹底する
メンバーが不安になったりパニックになるのを防ぐ
長距離の歩行では、しっかり計画を立てて、安全な状態で目標に到着しましょう。
山地で気をつけること
山間部では多くの自然の影響を受けることになります。
気象の特性
山地は気圧が低いため、標高が高くなるほど風が強まり、風は地形の影響を受けやすく山頂、稜線(山地部の一番高い部分の連なり)で一層強くなります。
峡谷など山地部に遮られた地域には風は一般に入りにくいです。しかし、谷の両側にある稜線の方向と風向きが同じ場合、谷に吹き抜けることがあります。
風は昼夜では吹く方向が反転することが多く、昼間は谷風となって谷間から吹き上がり、夜間は山風となって谷間に向かって吹きます。
風によって生じる体感温度の低下は、風速1mにつき約1℃です。
害虫等への対処
毒蛇
予防
マムシ、ハブなどの生息が確認されている場所へは、なるべく入らないようにします。
事前に現地の情報や現地での目撃情報に注意しましょう。
草むらなどのマムシなどの生息が予想される場所には不用意に立ち入らないようにします。
手袋、登山靴のような深い靴、靴下などで手足を防護して、棒で草むらを軽く叩きながら慎重に進みましょう。
池や流れの緩やかな水辺や近傍の草むらなど、マムシが捕食するカエルなどの生息地近くに潜んでいることが多いです。
秋口は、繁殖期のメスがひなたの道路など、露出した場所で体を温めていることがあるので注意しましょう。
噛まれたら
傷口からの毒の絞り出しを行います。
現在の医療では、傷口を切り広げたり口で毒を吸い出したり、あるいは心臓に近い部位の緊縛などの止血処置は推奨されていないそうです。
害虫
予防
皮膚の露出が少ない服を着用し、防虫網の付いた帽子、防虫スプレー・軟膏を準備しましょう。
スズメバチに遭遇した場合は、刺激しないように姿勢を低くしてゆっくり離れます。
手で払うとかえって刺激するのでやめましょう。
刺されたら
皮膚に残っている毒針をピンセットなどで抜き取り、傷口から毒を絞り出します。
刺された箇所を水でよく洗い流し、石鹸で洗えれば効果的です。
刺された箇所をかかないようにしましょう。
火の使い方
火の起こし方
マッチやライターなどの着火具を使って火を起こしますが、雨などで濡れてしまっては使えなくなります。
携行する時は、ビニール袋やジップロックなどに入れて水に濡れない処置をしましょう。
着火具は、ビニール袋やジップロックを二重にして入れておけば、擦れて穴が空いたり破けて水が侵入する心配は軽減します。
さらに、ハンカチやタオルで保護できれば理想的です。
身の回りにある虫眼鏡、双眼鏡のレンズ、老眼鏡などで光熱を集めたり、枯れ木同士を摩擦させて火を起こすこともできます。
これらの手段を組み合わせて火を起こすと効果的ですが、雨の日など湿度の高い日の着火は難しいです。
火を起こす場所に火のつきやすいもの
- テッシュ(乾いていれば、使ったものでよい)、牛乳パック
- 麻ひもを解したもの
- 樹皮(細かく砕いておく)
- 枯れ草
などを準備します。
いずれも乾いたものを用意しましょう。着火する時は、火種の受け皿を準備してかまどに移動するまで消えないようにします。
焚き火
穴を掘って焚き火を設置し、火が強風にさらされにくくしましょう。
使用後の埋め直しにより火災を防げます。
地面に掘った穴の中に燃えやすいものや小枝を燃やし、穴の上に太い枯れ枝を井の字形に組んで燃やしましょう。
かまどの作り方
かまどを準備する場合、簡易的なものであれば石で周りを囲って強風や延焼を防いで火災を予防します。
かまどの周囲からはビニールなどの燃えやすいものを置かないようにし、風下に草や落ち葉などを払っておきましょう。
山地で火災を起こすと一大事です。野外レジャーで火気を使用する場合は、指定された場所で行ってください。
水に関わる行動
海や河川で行動する場合、知っておくと便利な方法をまとめてみました。
水難防止に努める
水に入る際は、自分の体は自分で守り水難に巻き込まれないように努めましょう。
- 準備体操
入水前は準備体操により、筋肉を温め、筋・腱を伸ばしウォーミングアップします。
入水時の心臓への負担も軽減できます。 - 体調管理
体調の悪い時、食事の直後、空腹時、睡眠不足の状態で急に水に飛び込まないよう、しっかり体調管理をしましょう。 - 順序よく入水
入水する時は、足から徐々に水に入り体を水温に慣らしながら入りましょう。 - 無用な体力は使わない
泳ぎに自信があっても、ふざけ過ぎたり気ままに泳いだり無理をしないようにしましょう。
クラゲ浮きの方法
足がつって溺れかかった時、クラゲ浮きを覚えておくと便利です。
軽く沈んだ状態で水面下を向いて、両手・両足を底に向けて下にたらし、全身の力を抜きクラゲのような姿勢をとると自然に体が浮いてきます。
足指のけいれん
泳いでいるときに足指がけいれんしたら、クラゲ浮きになってから足の裏を揉みます。
足の親指がけいれんした場合は、土踏まずを揉む
親指以外がけいれんした場合は、土踏まずを揉んでけいれんした指を引っ張る
大腿部のけいれん
大腿部がけいれんした場合も、一旦クラゲ浮きになってから、けいれんした大腿部と同じ方の手で足首をつかんで後ろ(背中)側へ引いて伸ばします。
水難の状況に応じた行動
水難の状況に応じた行動
濁流
濁流に流された場合、無駄な体力を使わないよう流れに身をまかせ徐々に岸へたどり着くように泳ぎます。
体力を温存し救助を待ちましょう。
水草の絡まり
あわてることなく落ち着いて足に絡まった水草を外しましょう。
可能であれば、クラゲ浮きで呼吸を確保しながら行い、流れがある場合は自然と水草が解ける場合もあるので流れに身をまかせます。
ボートなどの転覆
転覆した場合は、船体につかまり浮力として利用します。
いきなり陸地に向けて泳ぎ出すと、遠い場合体力が尽きてしまう可能性があるので浮力に頼り救助を待ちましょう。
複数人数で転覆した状態で可能であれば、船体の両脇に各人が位置して船体の上に両腕を回し二人ずつお互いの手首を握ります。
この際、泳ぎの上手な方が下手な方の手首を握り、パニックが起こった場合でも巻き込まれないようにしましょう。
転覆した船体は、左右一方向を返せば浸水した状態でも浮いています。
浮いた船体に後ろ側から乗り込んでも、顔まで沈むことなく浮力として使えるので、足元の安定を得て精神的に落ち着くのに役立ちます。
応急浮体の作り方
身近なものも応急浮体として使えます。
上着、シャツ、ズボン
上着
- 水に飛び込む前に袖の部分を結んでファスナーやボタンをしめておきます。
- 水に飛び込むときに空気を袖の中に空気が入るように上着の裾からはらませるように飛び込みます。
- 袖を結んで閉じた腕の部分に空気がたまるようにします。
- 上着の首の部分に自分の首を乗せ、自分の脇の下から袖を結んだ上着の両腕の部分を背中に向けて浮き出させます。
- これにより浮体にうつ伏せになった形で浮くことができます。
長袖のシャツ
- 長袖のシャツを着た状態で袖を結びボタンを全て締めます。
- 水に飛び込む際に裾をズボンから出し、腹の部分から空気が入るように水に飛び込みます。
- 肩の部分にたまった空気が浮体となって浮くことができます。
ズボン
- 同様に裾野部分を結びファスナーとボタンを締め、空気が抜けないようにします。
- 水に飛び込む際にズボンの腰の左右両側部分を持って飛び込み、ズボンの両足の部分に空気がたまるようにして浮体を作ります。
- 股の部分に自分の胸を乗せ、両脇から空気のたまった脚の部分を背中側から水面に出すようにするとうつ伏せになった形で浮くことができます。
- 空気が抜けたり足りなかった場合は、口で吹き込んだり、両掌で水上を叩くようにして作った泡を浮体部分に送り込むと、浮体の空気を補充することができます。
水筒、ペットボトル
水筒やペットボトルなど空気を密閉できるものは浮体として使えます。
- 水筒
水を抜いてふたをしっかり締め、水に浮いた水筒に後頭部を乗せて頭部の水上に出る部分を確保します。
ズレたり思ったほど浮かないと感じますが、全くない状態よりは効果があります。 - ペットボトル
水筒と同じように飲料を抜いてふたを締め、後頭部を乗せたり、上着の肩の部分などに入れて浮力を得ます。
実際にやってみると思ったほど浮きませんが、浮体が全くない状態よりは効果があります。
河川や海での水に関わる非常時や事故から身を守りましょう。
ケガの予防と応急手当
野外でのケガは救急機関から離れているため、自分で処置できればより生存率が高まります。
止血法
負傷や処置を行う状況によって止血の方法を選びます。
圧迫包帯法
大きな動脈が損傷して出血している場合に行う方法です。
傷口の上から包帯をして傷口を圧迫することで止血する方法で、包帯がない場合は、清潔なガーゼ、三角巾、ハンカチ・手拭いなどを使います。
多量の出血でも効果があるので出血量に動揺することなく行い、包帯からさらに出血している場合は巻き直さずに上からさらに巻き足しましょう。
負傷した部位を高くしておくと効果的ですが、骨折している場合は動かさないようにします。
血管指圧法
簡単に言えば、指で血管を抑える止血方法で、包帯などの止血帯がない場合に行います。
出血部よりも心臓に近い部分で動脈を感じられる箇所を止血者の指と負傷者の骨で挟むことで止血する方法です。
比較的簡単な方法なので、意識があれば負傷者自身が行っても効果的ですが、移動などの長時間の止血には適しません。
止血帯法
腕や足の動脈が損傷し、噴き出すように出血している場合の止血方法で、はじめに止血帯で傷口から心臓に近い動脈部分を縛ります。
縛った止血帯の結び目に小さな輪を作って、そこに棒を差し込み、そのまま棒を回すことで緊縛を強める縛り方です。
腕や脚の付け根で縛って、傷口の近くで縛らないようにしましょう。
出血が止まったらそのまま止血帯が緩まないよう棒自体を負傷者の緊縛部位にヒモなどで結びつけます。
傷口の保護
傷口を処置する場合は、破傷風菌などの感染から守るために水で洗ったり消毒を行い手を清潔な状態にします。
できる限り良好な衛生状態で応急ばんそうこうや包帯を使い、傷口を保護しましょう。
ショック
ショックとは「傷の痛み、出血、筋肉・骨の負傷、感電、注射などで全身の血液循環が非常にかたより、身体が非常に弱った状態になること」で、短時間で回復する場合から死に至る場合まであります。
症状
症状の特徴は以下の通り
- 顔面蒼白になる
- 目がうつろになる
- 手や額が冷たく、冷や汗を生じる
- 吐き気が起こる
- 脈拍が弱くなる
- 呼吸が早くなる
- 重症では意識不明になる
予防
ショック症状の予防には正しい救急措置を行う必要があります。
- 負傷者を乱暴に扱わない
- 負傷者を静かに寝かせ、激励し安心させる
- 負傷者に傷口を見せない
- 負傷者を長時間劣悪な環境に置かない(寒い場所・暑い場所など)
熱中症
予防
- 温・湿度に応じて上衣の袖をまくるなどして身体の熱を逃す
- 休憩時は、上衣や帽子を脱いで日陰などの涼しい場所で休む
- こまめに水分を補給し、併せて少量の塩分も補給する
処置
- 風通しのよい日陰に寝かせる
- 頭部を高くし、仰向けにさせ衣類、靴を脱がせて全身水をかけて冷やす
- 意識が回復したら冷たい塩水を飲ませる
火傷
軽い火傷の応急処置
- 10分程度水道水で冷やす
- ワセリンやホウ酸軟膏を塗って包帯やガーゼで包む
水ほうを伴う火傷の応急処置
- 火傷部位を汚れた手で触らない
- 水ぶくれをつぶさない
- 火傷部位に衣類などの一部が付着していても無理にはがさない
- ショックを防止するための処置を行う
- 水分・塩分の補給を行う
骨折
単純骨折の応急処置
単純骨折の場合、皮下骨折で骨折かどうか疑わしい場合が多いので骨折として処置します。
- 骨折部を動かさないように固定する
- 負傷者をなるべく楽な姿勢で休ませ動かないようにする
- 骨折部に副木を当て、三角巾・包帯などで固定する
- 骨折部が曲がっている時は無理に元に戻さずそのまま固定する
複雑骨折
骨折部が傷口から外に出ているような骨折の形態です。
- 初めに止血する
- 粉砕した骨片を取り除かずそのまま固定する
- ショック予防の処置を行う
副木
骨折部を固定する副木として使う材料は以下のようなものもあります。
- テントの支柱、薄い板、木片、樹脂、竹、棒、定規、段ボール、新聞紙、厚紙、新聞紙を丸めてつぶし折り曲げたものなど
傷病者の搬送
応急担架の作り方
取手となる握るのに適した2本の棒を準備し、衣類の袖や足の部分に通したり、毛布を巻いたりヒモで補強するなどして応急で担架を作れます。
輸送時の負傷者の体位
- 呼吸、脈拍、意識などが正常で外傷がない場合
仰向け - 嘔吐のある場合
うつ伏せ - ショック症状がある場合、下肢(股関節より下)に外傷、出血のある場合
足の方を15〜20°高くする
さらに嘔吐しそうな場合は、顔を横に向けて嘔吐物で窒息しないようにする
安全に自信を持って行動するためにも応急方法を心得ておくことは大切です。
簡易測定方法
長さ、重さなどの尺度を知っておくことで、チームの仲間へモノの大きさや状況を正確に伝えることができます。
身体を基準とした測定(指、手、腕、足)
モノの長さを図ることで、イメージ共有のための情報を得ることができます。
最も簡単な尺度は自分の体です。
手足など自分の体の一部を尺度として、おおよそのモノの長さを測れます。
事故などに遭遇した場合、現地・物の特徴を覚えておくとその後の行動の役に立ったり、事故後に調査機関にも協力できるかもしれません。
一例として以下の長さを測っておくか、大体当てはまる部位を覚えておくとよいでしょう。
- 身長
- 目の高さ
- 伸ばした両腕
- 肩から指先まで
- 肘から指先まで
- 手首から指先まで
- 親指先から小指先まで
- 親指先から人差し指先まで
- 拳の幅
- 各指や指先から各関節まで など
歩測
自分の歩幅を覚えておくことで、地上の目標までの距離や屋内外施設・設備の長さを測定できます。
自分の一歩が何センチであるか測っておきましょう。
普通に・ゆっくり・速く歩いた場合それぞれの歩幅は異なります。
それぞれ大体の基準としてどれくらいか、覚えておければさらに便利です。
身の回りのモノを基準とした測定
身の回りのモノを基準とした測定
身近な品物の長さや重さを覚えておくと便利です。
- タバコの長さ:8.5㎝
- 鉛筆の長さ:17.5㎝
- 硬貨の直径
500円:2.6㎝
100円:2.2㎝
50円:2.1㎝
10円:2.3㎝
1円:2.0㎝ - 1円硬貨の重さ
ちょうど1g
1円硬貨は長さも重さも簡単なので覚えやすいですよ。
いずれも、日常生活で知っておくと便利なので試しに使ってみましょう。
まとめ
本記述は以下の内容について記載しました。
- 自然界から得る天気情報
- 位置の標定と方向の確認
- 長距離歩行
- 山地で気をつけること
- 火の使い方
- 水に関わる行動
- ケガの予防と応急手当
- 簡易測定方法
安全を確保できる状態で活用してみてください。
いざという時に役立つことでしょう。
※ 注意
本記事の内容は、筆者の経験と調査によるもので、自衛隊の訓練、教育内容を記述したものではありません。
この記事を書いたライター:Yamaさん
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