今回は、パティシエという仕事について、実際に4年間パティシエとして勤務されたまぁこさんに体験談をインタビューしました。パティシエという仕事に興味がある方、今現在パティシエの方などの参考になればと思います。良い面ばかりでなく、リアルな仕事現場についてのお話をお伺いしました。
今回の職業体験インタビューはパティシエとして、4年の勤務経験があるまぁこさんにインタビューしていきたいと思います。よろしくお願いします!
よろしくお願いいたします!
それでは最初の質問ですが、まぁこさんがパティシエになろうと思った経緯を教えてください。
私は小さな頃から母がバースデーケーキを作ってくれていました。ケーキを焼いている時の香りが大好きで私は誕生日の香りだと感じていました。
私が小学5年生のクリスマスに姉と2人でケーキ作りに初挑戦!
本を見て作ったはずなのにカチカチのお世辞にもおいしいとは言えないケーキが出来ました。
それを食べた両親は「美味しい」と完食してくれました。
私はこの時とても悔しかった。
そこからお菓子作りにハマって本を読み漁り、原因を解明したくて何度も作りました。
今思えば美味しいケーキとは言えなかったかもしれませんが、当時は成功した時は感動しました。
ここからお菓子作りの奥深さを感じてパティシエになりたいと思いました。
バースデーケーキを手作りとは、素敵なお母さまですね。幼少期の体験からパティシエを目指し、専門学校を卒業後に就職されたとお聞きしましたが、就職したお店はどのようなお店でしたか?
田舎に住んでいるという事もありますが北欧風のオシャレなお店だと評判がよく人気店でした。
店舗数は当時、県内で4店舗近隣県に2店舗。勤務中もどんどん店舗が増えていきました。定番ケーキ約20種類とは別に、季節限定のケーキを各店舗ごとに考えて店舗限定のケーキを販売していました。
それは素敵ですね。まさに女性のパティシエ憧れといったイメージのお店かと思いますが、当時一緒に働いていた仲間の方達はどのような方がいらっしゃいましたか?
大手の会社ではなかったので社長との距離感も近く、商品開発や百貨店の催事なども参加させていただきました。
社長がいつも言っていたことは
「お店のケーキが美味しいのは当たり前。ケーキを通じて感動や幸福をお客さんに感じてもらう接客をしなくてはいけない。時にはルールをやぶってもいい。機械じゃできない人間らしさが一番大切」
と教えていただきました。
この社長の考えに共感して尊敬していました。
女性が9割の会社です。
もちろん厳しい先輩もいました。
でも不出来ながらも一生懸命お店に残って練習していたら親身に教えてくれました。
案外厳しい先輩が一番頼りになる先輩だったりします。
優しくも厳しい職場の方々に囲まれての毎日だったということですね。それでは、パティシエとしての仕事について詳しくお聞きしていきたいと思いますので、一日の仕事の流れを大まかに教えてください。
7時半出勤
店舗の掃除をします。(販売部分は別の方がするのでショーケースをピカピカにする)
仕込みの大量のカスタードを作ります
生クリームを立てる
先輩が8時に出社するのでそれまでにここまでは必ず終わらせる。
自分の担当のケーキの仕上げをしていく
オープンしたらケーキの売れ行きを見ながら追加で作る
午後からは仕込みと焼き菓子製造(オーブン作業)
予約の時間に合わせてバースディケーキを作る
営業時間が終わると、店舗の掃除と練習。
帰宅は基本20時を過ぎていました。
かなりの長時間勤務なのですね。。パティシエの方の給料面、待遇はぶっちゃけいかがでしたか?
ハッキリ言って給料は時給に換算したらダメです(笑)
あくまで好きでないと成立しません。
初任給は万18万円程ありますが出勤時間が多いです。
出勤時間は7時半から早くて20時まで。
休みは月6日
いいとは言えませんね。
好きだったら毎日楽しいので気になりませんが…。
好きなことが仕事になっているとはいえ、お金の面ではなかなか厳しい現実ですね。。仕事の中で感じたやりがい、またつらかった出来事を教えてください。
やりがいを感じることは、
ケーキを通じてハッピーのお手伝いができる事です。
お誕生日、クリスマス、記念日…。お客さん一人ひとりにドラマがあり自分自身も幸せな気持ちになれます。
そして新作ケーキを考えて作って試食して…。この作業が最高に楽しいです。
つらかったことは、
クリスマスやお正月は繁忙期なのでプライベートはありません。
クリスマスに関しては3日ほどほぼ泊まり込みでした。
ケーキ作りの試作楽しそうですね!一般に想像するパティシエの醍醐味といったイメージですね。そして、クリスマスは泊まり込みですか。。繁忙期とはいえ、そこまでに大変だとは知りませんでした。。
それでは4年間の勤務経験の中で最も印象に残っている出来事を教えてください。
散々ハッピーな気持ちになれると言っていたのですが一番思い出に残っているエピソードは少し悲しい話です。
毎月11日に4号サイズ(12センチ)のケーキをお任せで注文してくれる若い男性のお客様がいました。
最初は11日は「何かの記念日なのかなぁ」なんて思っていたのですが、毎月言葉を交わすうちに打ち明けてくれました。
11日は奥さんのお腹に宿った赤ちゃんが亡くなった日だったのです。
この日は決しておめでたくない。
でも11日が来るたびに悲しい気持ちになる奥さんに旦那さんが送っていました。
優しい旦那さんにスタッフ一同感動したのと同時に、笑顔になってほしい気持ちも倍増。
毎月デザインにもこだわってオリジナルケーキを作っていました。
エピソードを聞いて1年弱経った頃、初めて2人でご来店。
なんと大きなおなかの奥さんがそこにいました。
奥さんは
「11日が嫌いでした。でもいつからか11日に夫が買ってくれるここのケーキを楽しみにしていました。たくさん救われました。ありがとうございます」
という言葉に涙が止まらなくなりました。
私はこの後店舗移動になったので会えていませんが、ずっと11日のケーキは続いているようです。
自分の仕事が誰かの人生に繋がっているのだと実感できる、ケーキ屋さんならではの素敵なエピソードですね。
それでは、パティシエとしての仕事を辞めるきっかけとなった出来事を教えてください。
父の病気がきっかけです。
予想外の大病に私は日頃仕事ばかりで全く家族の時間がなかった事に後悔しました。
休みの日のモーニングの誘いも疲れているといいながら断っていました。
父との時間が作りたかったのがきっかけです。
プライベートの時間がほしくなりました。
大切なご家族との時間の為ということですね。その後のパティシエという仕事を辞めてからの人生において、パティシエとして得た経験は役に立つ場面はありますか?
ケーキ作りの技術はもちろん、感性も磨かれました。
不思議と相手の気持ちになって作るととても綺麗なケーキが出来ます。
結婚をして子供がいる現在、ケーキはもちろんお菓子作りも頻繁にします。
子供たちも喜んでくれますし一緒に作れて楽しいです。
完璧を求めてしまうので、どうしても手を出してしまう節があるのは反省していますw
ご自身がパティシエを目指す経緯ともなったお母さまのケーキ作りの経験を、母親となったまぁこさんがお子様にまた伝えていると聞くとなんだかとても素敵だと思います!それでは、最後となりますが、これからパティシエを目指す方へ一言お願いします。
まずパティシエはとっても楽しいです。
大好きな甘い香りに包まれてお仕事出来ます。
ただパティシエは力仕事でもあります。
5キロ以上あるアツアツの鉄板を片手で素早くオーブンから出したり、30キロの粉を担いだり。
やけども付き物。
憧れていた世界と違うといって退社する人を何人も見ました。
ただ、この仕事は本当に楽しいです。
自分のスキルアップはもちろん、感性も磨かれる!
給料を時給に換算したらダメと言いましたが、自分が経営者になって成功した友人が何人もいます。
誰かのハッピーを心から喜べる純粋な方!
パティシエにピッタリです。
制服も可愛いし男性のパティシエはカッコいい!
たとえケーキが無くなってもは誰かが死んでしまうような生きていくために必須のものではありません。
だけど誰かの人生の忘れられない思い出に自分の関われるという重大勤務!
楽しい幸せなお仕事です。
パティシエという仕事についての具体的なお話をいろいろと聞かせて頂きまして、ありがとうございました。大変わかりやすく、参考になるお話でした。
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